Article

超伝導:ひずみ操作された2層ニッケル酸化物薄膜における構造変化

Nature 653, 8113 doi: 10.1038/s41586-026-10446-2

高静水圧下のバルクLa3Ni2O7と二軸圧縮下のエピタキシャルLa3Ni2O7薄膜における高温超伝導の発見によって、こうした化合物中の原子構造と電子構造の相互作用を理解することに大きな関心が集まっている。ニッケル–酸素(Ni–O)結合の環境におけるわずかな変化が、超伝導の安定化を駆動する鍵であると考えられているが、どの結合や変化が最も重要かという具体的な詳細は、今のところまだ解明されていない。静水圧下での原子スケールの直接的な構造評価は、現在の実験能力を超えているが、ひずみ印加La3Ni2O7膜の静的安定化によって、ピコメートル分解能の新しい電子顕微鏡法による調査に非常に適したプラットフォームが得られる。今回我々は、マルチスライス電子タイコグラフィー(MEP)を用いて、La3Ni2O7薄膜の原子スケールの構造的発展を、基板選択によって調整された広範囲の二軸ひずみにわたって直接測定した。そして、陽イオンと酸素の副格子の両方を解像することで、原子結合のひずみ依存的な発展を調べ、特定の構造モチーフが超伝導の安定化に及ぼす影響を単離して解明する機会を得た。我々は、圧縮ひずみ下でのNi–O八面体変形の変化を通した結晶対称性の消失が超伝導の鍵となる構造的要素であることを突き止めるとともに、面内格子圧縮がバルク超伝導と薄膜超伝導に共通する属性であることを明らかにした。我々は、MEPによって得られた詳細な構造に基づいて、頂点共有八面体における構造変形の結合を解明するための理論的枠組みを提示する。この枠組みは、La3Ni2O7の既知の超伝導形状(静水圧下および圧縮ひずみ下での形状)が共に、八面体対称性を高めることによって、低エネルギーのNiバンドにおける局所的なt2g軌道混成を抑制すると示唆するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度