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生化学:キナアルカロイドの生合成

Nature 653, 8113 doi: 10.1038/s41586-026-10227-x

キナアルカロイドは250年以上も前から研究されている植物由来の天然物で、総じて医学や基礎科学に大きな影響を与えてきた。キナアルカロイドの例としては、歴史的に重要な抗マラリア薬であるキニーネや、プロセス化学で広く用いられているキラル触媒であるシンコニジンなどがある。しかし、これらのよく知られた化合物を植物がどのように合成するのかは、いまだほとんど解明されていない。今回我々は、キナアルカロイドに特徴的なキノリン–キヌクリジン骨格を生合成する役割を担う遺伝子群を発見したことを報告する。同位体標識、遺伝子抑制、単一核RNA塩基配列解読法、比較トランスクリプトーム解析を組み合わせることにより、いくつか予想外の生合成変換が関係していることが明らかになった。また、これまでに報告されたことのない第四級アミン中間体が、酵素による珍しい環化反応によって生じることが分かった。これらの遺伝子をベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)で異種発現させると、ジヒドロキニ(ジ)ノン、ジヒドロシンコニ(ジ)ノン、シンコニ(ジ)ノンを産生できることも示された。さらに我々は、このベンサミアナタバコ発現プラットフォームが、非天然型のフッ素化トリプタミン基質および塩素化トリプタミン基質をジヒドロシンコニ(ジ)ノン類縁体に変換できることを実証する。このことは、これらの生合成酵素を使用して、ハロゲン化キナアルカロイド誘導体の産生できる可能性を示唆している。これらの知見によって、キナアルカロイド骨格がどのように生合成されるのかという長年の謎が解決し、代謝工学の手法でこれらの化合物へとアクセスできる可能性が明らかになった。

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