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分子生物学:dCas12f–σE–RNAP複合体による、RNA誘導型転写の構造基盤

Nature 653, 8113 doi: 10.1038/s41586-026-10178-3

天然および遺伝子操作した生体システムの両方において、RNA誘導型のタンパク質はRNAポリメラーゼ(RNAP)やその関連因子を調節することによって、重要な転写調節因子として作用することが知られている。細菌では、多様なクレードのTnpBやCRISPR関連タンパク質が目的外に転用され、転写の開始あるいは伸長の阻害によって遺伝子発現を抑制して、非カノニカルな調節制御様式や適応免疫を可能にしている。一方、異なったクラスのヌクレアーゼ活性のないCas12f相同体(dCas12f)は、独特な細胞質外機能性シグマ因子(σE)と結合することによって遺伝子発現を活性化するが、その分子基盤はまだ解明されていない。今回我々は、Flagellimonas taeanensis由来のdCas12f–σE系のクライオ電子顕微鏡構造を決定することによって、RNA誘導型の転写開始の新しい様式を明らかにした。我々はDNAに結合したdCas12f–σE–RNAPホロ酵素複合体を含む異なる複数のコンホメーション状態や組成状態を捉え、これによって、RNA誘導型のDNAの結合がσE–RNAPの動員に結び付き、Rループの下流にある正確に距離の決まった位置からの新生mRNA合成を引き起こす仕組みが明らかになった。今回の研究は、σE依存的なプロモーター認識という古典的な原理に従うのではなく、−35エレメントの認識はCRISPR–Casによる標的化よって大部分が代替される一方、開裂した−10エレメントの安定化は、通常の認識ポケットへの挿入ではなく、通常とは異なるスタッキング相互作用によって行われることを示している。これらの知見を総合することにより、RNA誘導型転写の予想外の機構について詳細な手掛かりが得られ、細菌の遺伝子調節に関する理解が深まり、プログラム可能な転写制御に向けて新たな道が開かれた。

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