Article

惑星科学:火星の原始海洋を示す地形学的特徴の特定

Nature 652, 8111 doi: 10.1038/s41586-026-10381-2

火星全体にわたる海岸線の解釈から、火星にはかつてその表面の3分の1を覆う初期海洋が存在していたと示唆されている。しかし、これらの海岸線の標高は等ポテンシャル面から数キロメートルもずれており、その解釈に疑問が呈されている。本論文で我々は、かつて海洋が存在していた惑星において、識別可能な海岸線が残されると考えるべきかどうかを検証した。我々は、地球では、全球規模の海洋の存在を示す最も顕著な地形学的特徴は海岸線ではないことを示す。むしろ、そうした特徴は海岸平野と大陸棚から構成される傾斜と曲率の小さい帯状の領域であり、その標高範囲は−410 mから−15 mである。同様の分析を火星の表面に適用したところ、標高約−1800 mから−3800 mの間に、部分的に保存された火星の沿岸棚の痕跡である可能性のある比較的平坦な領域が観測された。溶岩流などの他の地質学的過程が局所的に平坦な地域を説明できる可能性はあるが、推定される沿岸棚の領域内で観察される、河川デルタ堆積物、沿岸堆積物、厚い層状岩の累層、および水成変質鉱物など全ての証拠と合わせると、全球規模で広がる帯状の平坦地形を最もよく説明するのは沿岸棚である。我々の結果は、火星に古代の海洋が存在したことを裏付けるものであり、長期間存続した海洋を示す指標としては、海岸線よりも地形学的な棚状地形の方がより適切である可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度