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気候科学:気候変動による北太平洋のストームトラックの極方向への移動

Nature 649, 8097 doi: 10.1038/s41586-025-09895-y

北太平洋全域の中緯度のストームトラックは、北極域と北米西部への熱と水蒸気の輸送の大半を説明し、地域的な降水と気温のパターンに大きな影響を及ぼしている。今世紀末までに、冬季の北太平洋のストームトラックは極方向に移動し、海洋生態系と陸域の水の利用可能性にかなりの影響を与えると予測されている。大気再解析によって、こうしたストームトラックの極方向への移動が示唆されているが、風の観測記録がないため、ストームトラックの移動が最近の数十年間に起きたかどうか、また、ストームトラックの位置が決まるのに気候変動がどのような役割を果たしているかは、まだよく分かっていない。今回我々は、中緯度のストームトラックの制約条件を観測によって導き出し、冬季の北太平洋のストームトラックが、自然変動の範囲を超えて既に大きく極方向に移動していることを示す。また、ストームトラックの極方向への移動によって生じる熱と水蒸気の流れも北米西部全域で明瞭に認められ、降水と気温のパターンに対する地域的な影響が示唆された。我々の分析結果はさらに、気候モデルが最近の数十年間のストームトラックの極方向への移動を過小評価していることを明らかにしており、北太平洋生態系と北米西部の両方に対する将来の人為起源の影響が、現在の予測より大きくなる可能性があることを示唆している。

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