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免疫学:繊維芽細胞の空間的なニッチがクローン病の瘻孔を定める

Nature 649, 8097 doi: 10.1038/s41586-025-09744-y

クローン病では、皮膚などの器官と腸をつなぐ異常なトンネルである瘻孔が生じることが多い。瘻孔は病的状態に重大な影響を及ぼすにもかかわらず、瘻孔形成の分子基盤は明らかになっておらず、その理由は主に、無傷の瘻孔管を捉えることや、その固有の不均一性を捉えるのが難しいためである。今回我々は、解剖学的にさまざまな位置にある68の腸瘻孔について、細胞未満の分解能で空間アトラスを構築した。我々は、瘻孔に関連する上皮細胞、免疫細胞、ストローマ細胞の状態を特徴付けることで、トンネル形成の解剖学的構造の確立と結び付けられる増殖因子とモルフォゲンの異常な空間的分離を明らかにした。我々は、瘻孔関連ストローマ(FAS)繊維芽細胞を特定した。これらの細胞は、好中球とマクロファージが豊富な肉芽組織の下にある増殖性で瘻管腔に隣接した区域、FAS細胞の活動性病変中核区域、静止状態で繊維化を促進する外側の区域という、同心円状の複数の層で構成されている。我々は、この瘻孔管内の細胞外マトリックスの構造を調べ、FAS集団が、異なるコラーゲン構造と関わり合って、増殖や移動、細胞外マトリックスのリモデリングから高密度コラーゲン沈着や繊維化に至るまで、さまざまな特性を示すことを実証した。我々はまた、瘻孔トンネルの上皮化を支えるニッチと、非穿孔型クローン病の潰瘍の底部に検出されるFAS様集団を明らかにした。今回の研究は、共通の分子経路と細胞ニッチが腸での位置にかかわらず瘻孔を支えていることを実証しており、瘻孔の確立と持続を担う最も重要な細胞を明らかにしている。この研究資源は、クローン病において、繊維芽細胞の異常な活性を軽減しつつ、その再生特性を維持するためのモデル系や介入法の開発に有用な情報となる。

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