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神経科学:アデノシンシグナル伝達がケタミンおよびECTの抗うつ作用を駆動する

Nature 649, 8096 doi: 10.1038/s41586-025-09755-9

ケタミンや電気痙攣療法(ECT)は、難治性うつ病に急速な寛解をもたらす。しかし、治療精度を向上するために不可欠な作用機序は、いまだに解明されていない。今回我々は、マウスモデルを用いて、アデノシンシグナル伝達がこれらの治療介入の抗うつ効果の基盤となる中心的な経路であることを明らかにする。遺伝的にコードされたアデノシンセンサーの実験とリアルタイムの光学記録の結果から、いずれの療法も、内側前頭前皮質と海馬を含む気分調節に重要な脳領域で、強いアデノシン急上昇を誘発することが分かった。アデノシン受容体A1とA2Aを遺伝学的または薬理学的に阻害すると両療法の効果が消失した。このことから、抗うつ効果におけるアデノシンシグナル伝達の重要な役割が確かめられた。特に、内側前頭前皮質特異的なアデノシンシグナル伝達が、抗うつ効果を駆動することは重要である。ケタミンは細胞代謝を調節することで、ニューロンの過剰活動を引き起こすことなしに細胞内アデノシン濃度を高めて、アデノシンを増加させる。この機構を利用して、我々はアデノシンシグナル伝達を強化し、治療用量で副作用を軽減しつつ抗うつ効果を改善するケタミン誘導体を開発した。さらに、急性の間欠的低酸素症、すなわち管理下で酸素レベルを低下させる非薬理学的な介入は、脳内アデノシン濃度を上昇させて、ケタミンやECTの作用と同様の抗うつ効果をもたらすことが分かった。今回の知見は、アデノシンが即効性の抗うつ療法の重要な媒介物質であり、大うつ病に対するスケーラブルで非侵襲的な治療法の扱いやすい標的であることを示している。

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