細胞生物学:SIGLEC12はネクロトーシス細胞死の際に起こる細胞膜破裂を仲介する
Nature 649, 8096 doi: 10.1038/s41586-025-09741-1
ネクロトーシスは溶解性細胞死の一種であり、感染や炎症性病態の際に過剰活性化される。最近、NINJ1がパイロトーシス、毒素誘発性ネクローシス、アポトーシス、フェロトーシスの際に起こる細胞膜破裂(PMR)のメディエーターであることが判明したが、ネクロトーシスのPMRメディエーターは、まだ明らかにされていない。今回我々は、CRISPR–Cas9を使用したゲノム規模のノックアウト手法で、SIGLEC12がネクロトーシスのPMR段階でMLKLの下流で働く主要なメディエーターであることを突き止めた。SIGLEC12をノックダウンあるいはノックアウトした細胞では、ネクロトーシスが誘発するPMRが障害され、肥大化した形態となる。ネクロトーシスの過程でSIGLEC12は脱リン酸化され、MLKLと相互作用して細胞質ゾル内で斑点を作り、集合して原繊維となる。興味深いことに、SIGLEC12はネクロトーシスの際にTMPRSS4によって切断されて、NINJ1に非常に相同な20 kDaの断片を生じ、この切断事象は、ネクロトーシス過程のPMRの誘発に必要十分である。がんに関連するSIGLEC12バリアント(Ser458Phe)やヒト一般集団で見られるバリアント(Arg528Trp)は、TMPRSS4によるSIGLEC12の切断を減弱させる。マウス細胞においてSiglec12をノックアウトしてもPMRには影響しないことから、種特異的な役割が示唆される。SIGLEC12がPMRのメディエーターとして特定されたことによって、プログラムされたネクローシスが起こる仕組みについての理解が深まり、ヒトの疾患でこの炎症促進性の細胞死形態を標的にするという新たな手法を提示している。

