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生物学的手法:iPEXは組織の膨張を介してマイクロメートル分解能でのディープ空間プロテオミクスを可能にする

Nature 649, 8096 doi: 10.1038/s41586-025-09734-0

開発中の空間オミクス技術の数は増加の一途だが、組織内のタンパク質の位置を、標的を定めることなく、高い空間分解能と網羅性で決定できるツールはまだ存在しない。今回我々は、iPEX(in situ imaging proteomics via expansion)を示す。これは、組織の等方拡大とマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析画像化法を組み合わせて用いる方法である。iPEXは拡大縮小可能でマイクロメートルスケールまでの空間分解能が実現でき、タンパク質を特定する際の感度は10~100倍にまで上げられる。網膜をモデルとして用いて、iPEXによる高精度の空間プロテオミクスマップの構築が可能になり、単一細胞層や体外構造の画像化、それに共局在タンパク質の特定もできるようになった。iPEXは、脳、腸、肝臓、オルガノイドなどの多様な組織に容易に適用でき、1~5 μmの有効ピクセルサイズで600~1500のタンパク質を検出できた。5xFADアルツハイマー病のマウスの脳でiPEXを適用して空間プロテオミクスマップを描いたところ、早発するミトコンドリア異常が明らかになった。注目すべきことに、若齢マウスではペルオキシソームのアセチルCoAアシルトランスフェラーゼであるACAA1A(この酵素のN392S変異体はアルツハイマー病の単遺伝子性のリスク因子である)が下方制御されていた。複数の細胞状況下でACAA1を欠乏させると、ドコサヘキサエン酸をはじめとする長鎖多価不飽和脂肪酸の生合成が阻害された。このようなリピドームの変化は、野生型ACAA1を過剰に発現している細胞では回復したが、ACAA1(N392S)を過剰発現している細胞では回復しなかったことは、長鎖多価不飽和脂肪酸の調節不全が神経変性の早い段階で何らかの役割を果たしていることを示唆している。まとめるとこれらの結果は、iPEXはマイクロメートル分解能での標的を定めない空間プロテオミクスを促進する、多様な応用のための手法であることを示している。

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