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神経科学:ヒト側頭葉における共通の音韻処理と言語特異的な音韻処理
Nature 649, 8095 doi: 10.1038/s41586-025-09748-8
全ての話し言葉はヒトの声道を介して生成される。そのため、発声可能な音の種類は有限である。しかし、そうした制約があるとはいえ、世界の7000に上る話し言葉には信じられないほどの多様性があり、各言語は言語特異的な文脈の中で音声を聞くのをたくさん経験することで学習される。脳での音声処理のどの要素が日常的な言語経験に依存し、どの要素が依存しないのかは分かっていない。今回我々は、さまざまな言語背景を持つ成人参加者に、母語となじみのない非母語の発話を聞いてもらい、その際の高密度皮質活動を記録した。その結果、言語経験の有無にかかわらず、母語も非母語も、上側頭回(STG)に類似した皮質反応を引き起こしていることが見いだされた。これは母音と子音といった基本的音声特性の共通する音響–音韻処理と関連していた。しかし、母語を聞いていた際にのみ、単語間の境界、単語の頻度、言語特異的な音列の統計的性質に関して、STGでの神経符号化の増進が認められた。これとは別の2言語話者のコホートでは、同一個人の同一STG神経集団において、この単語レベル・語列レベルの情報の符号化が、両使用言語で認められた。今回の結果は、経験依存的な言語処理には、STGでの共通する音響–音韻情報と言語特異的な語列・単語レベルの情報の、双方の動的な統合が関与することを示している。

