Article

タンパク質設計:メタロヒドロラーゼの計算設計

Nature 649, 8095 doi: 10.1038/s41586-025-09746-w

酵素のde novo設計では、標的とする化学反応の遷移状態を触媒残基が取り囲んで安定化させる、理想的な活性部位を含んだタンパク質を作ることを目指している。生成人工知能手法であるRFdiffusionならば、この問題を解決できるが、触媒残基それぞれの配列上の位置と骨格の座標の両方を指定する必要があり、これらが標本抽出の制約となる。今回我々は、このような必要性をなくしたRFdiffusion2を開発し、これを用いて、量子化学により導出した活性部位の配置を基にして亜鉛メタロヒドロラーゼを設計した。実験的に検証した最初の96の設計のうち、最も活性が高かった酵素は触媒効率(kcat/KMが1万6000 M−1s−1で、この値はこれまでに設計されたメタロヒドロラーゼに比べて数桁高い。2巡目の96の設計では、活性の高い酵素がさらに3つ得られ、kcat/KM値は最大5万3000 M−1s−1、触媒反応の速度定数(kcat)は最大1.5 s−1であった。最も活性の高いこれら4つの設計の設計モデルは既知の構造とは異なり、また4つの間でも互いに異なっている。また、最も活性の高い設計の結晶構造は設計モデルとよく似ていることから、この設計方法の精度が実証された。最も活性の高い酵素は、結合した金属により活性化した水分子による求核攻撃に適した位置に基質が配置されるように効果的に構築された活性部位を持つことが、PLACERとChai-1によって予測された。高い活性を持つ酵素を、実験的に最適化することなくコンピューターによって直接生成できれば、強力な新世代のデザイナー触媒作成が可能になるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度