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がん治療:NSD2を標的にすることで前立腺がんの可塑性と薬剤抵抗性を元に戻す

Nature 649, 8095 doi: 10.1038/s41586-025-09727-z

細胞系譜の可塑性はがんの特徴の1つで、病勢進行と治療抵抗性を駆動する。可塑性にはエピジェネティック機構が関わっていることが多く、これらは元に戻せる可能性があるが、そのような可逆性の実例はほとんどない。去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)では、可塑性がアンドロゲン受容体(AR)阻害薬への抵抗性をもたらし、腺がんから神経内分泌前立腺がん(CRPC-NE)などのアグレッシブなサブタイプへの進行にも関与する。今回我々は、CRPCの可塑性が関係する治療抵抗性が、ヒストンメチルトランスフェラーゼであるNSD2の阻害によって元に戻り得ることを明らかにした。CRPC-NEでのNSD2の発現亢進は生存転帰不良に関連しており、NSD2が関わるH3K36のジメチル化は神経内分泌分化に関連する遺伝子のエンハンサーを調節することが分かった。神経内分泌状態への分化転換を再現した遺伝子操作マウスから作製した前立腺腫瘍オルガノイド、またヒトCRPC-NEオルガノイドでCRISPRによってNSD2を標的にすると、CRPC-NEの表現型が腺がんへと戻った。その上、カノニカルなARプログラムが上方調節され、AR阻害剤であるエンザルタミドへの反応が回復した。培養した、あるいは異種移植したヒト患者由来の複数のCRPCサブタイプのオルガノイドにおいて、NSD2をファースト・イン・クラスの低分子化合物で阻害すると、可塑性が失われ、エンザルタミドとの相乗作用でオルガノイドの成長が抑制され、細胞死が促進された。NSD2とARを同時に標的とすることは、現在は治療の難しい致死的なCRPCに対する新しい治療戦略になるかもしれない。

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