細胞生物学:リソソームとルナパークで標識された小胞体接合部がセクレトームの翻訳を形作る
Nature 649, 8095 doi: 10.1038/s41586-025-09718-0
小胞体は高度に相互連結された膜のネットワークで、タンパク質の合成と成熟の中心的な場となっている。小胞体関連の重要な転写産物のサブセットであるセクレトームmRNAは、分泌タンパク質、内腔タンパク質、膜内在性タンパク質をコードしており、ヒトのタンパク質コード遺伝子の3分の1近くを占める。セクレトームmRNAは細胞質ゾルのmRNAとは異なり、翻訳と共役して移行するので、翻訳とタンパク質挿入の間で正確な協調が必要である。伸長速度の変化などによってこの過程が破綻すると、細胞の増殖を妨げるストレス応答経路が活性化される。このことから、セクレトームの翻訳が空間的に組織化されて、忠実度を確保しているのかどうかという疑問が生じる。今回我々は、生細胞での単一分子画像化法を用いて、セクレトームmRNAの翻訳が、小胞体接合部(構造タンパク質であるルナパーク〔lunapark〕を多く含み、リソソームに近接している)で優先的に行われることを実証する。ルナパークが欠乏すると、リソソーム周辺のセクレトームmRNAのリボソーム密度と翻訳効率が低下し、この現象はeIF2を介した翻訳開始に依存的であり、統合的ストレス応答阻害剤(ISRIB)によって回復した。リソソームに関連する翻訳は、さらに栄養状態によっても調節される。すなわち、アミノ酸欠乏はリソソーム周辺での翻訳を増強するが、リソソームのpHを中和すると翻訳は抑制された。これらの知見は、小胞体接合部タンパク質とリソソーム活性が協調してセクレトームmRNAの翻訳パターンを決める機構を明らかにするもので、これによって、小胞体の構造と栄養素の感知が、分泌タンパク質や膜タンパク質の産生と結び付けられた。

