フォトニックコンピューティング:ホップフィールドネットワークから着想を得た、プログラム可能な200 GOPSのフォトニックイジングマシン
Nature 648, 8094 doi: 10.1038/s41586-025-09838-7
イジングマシンは、NP困難な問題を扱える強力な手法を提供するが、スケーラビリティー、再構成可能性、高速性、そして安定性を物理的に同時に実現することは、依然として困難である。量子アニーラー、例えばD-Wave社の極低温ハードウエアは、組み合わせ最適化タスクを対象としているが、問題サイズに応じて要求されるキュービット数が二次のスケーリングを示すため、密なグラフでのスケーラビリティーが制限されている。今回我々は、スピン表現において一次のスケーリングを示す、プログラム可能で安定な、室温の光電子発振器(OEO)を用いたイジングマシンを報告する。今回のアーキテクチャーは、ホップフィールドネットワークから着想を得たもので、最高256のスピン(6万5536の結合)、そして疎な結合の場合であれば4万1000を超えるスピン(20万5000を超える結合)の全結合問題を解くことができる。我々の系は、カスケード接続された薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)変調器、半導体光増幅器(SOA)、デジタル信号処理(DSP)エンジンを、再帰的な時間符号化ループで使用しており、スピン結合と非線形性の点から毎秒200ギガ演算(GOPS)を上回る潜在能力が実証された。このプラットフォームは、高い固有速度により、OEOを用いたフォトニックイジングマシンとして過去最大のスピン構成を達成している。我々は、2000スピンおよび2万スピンからなる任意のグラフトポロジーの最大カット問題に対して、他のフォトニックイジングマシンと比較して最高品質の解を実験的に実証するとともに、これまでフォトニック系では扱われてこなかったベンチマークである、数分割問題および格子タンパク質折りたたみ問題について基底状態の解を得た。今回の系は、局所最適解から脱出して収束を加速させるために、高いボー(baud)速度に由来する固有雑音を使用している。さらに我々は、これまで光通信で用いられてきたDSPを光計算に組み込むことによって収束性と解の品質が向上することを示し、これによって、最適化、ニューロモーフィック処理、アナログ人工知能に向けた、スケーラブルな超高速計算における未開拓分野が切り開かれる。

