Article
量子コンピューティング:シリコン上での11キュービット原子プロセッサー
Nature 648, 8094 doi: 10.1038/s41586-025-09827-w
シリコン中のリン原子は、その核スピンが数秒にわたるコヒーレンス時間を示し、高忠実度の読み出しと単一キュービット制御が可能であるため、量子コンピューティングに向けた有望なプラットフォームである。数ナノメートルの半径内に数個のリン原子を配置すると、これらの原子は超微細相互作用によって、単一の共有された電子と結合する。そのような核スピンレジスターを用いると、高忠実度の多キュービット制御や小規模の量子アルゴリズムの実行が可能になる。スケールアップの重要な要件は、高忠実度のエンタングルメントを数個のスピンレジスターに非局所的に拡張する能力である。今回我々は、電子交換相互作用によって連結された2つの多核スピンレジスターで構成される11キュービット原子プロセッサーを用いて、この難題に取り組んだ。我々は、較正と制御のプロトコルを改良することで、単一キュービットゲートと多キュービットゲートの全てにおいて99.10〜99.99%の忠実度を実現した。我々はまた、局所的な核スピン対と非局所的な核スピン対のあらゆる組み合わせをエンタングルさせることにより、このプロセッサーの性能を精密に定めて、最高99.5%という最先端のベル状態忠実度を実現した。さらに我々は、キュービットの数を増加させつつグリーンバーガー–ホーン–ツァイリンガー(GHZ)状態を生成し、最高8個までの核スピンのエンタングルメントを実証した。我々は、相互接続された核スピンレジスター間の高忠実度操作を確立することで、原子プロセッサーを用いたフォールトトレラントな量子計算に向けた重要なマイルストーンを達成した。

