免疫学:宿主細胞のZ型RNAがウイルス感染時にZBP1を活性化する
Nature 648, 8094 doi: 10.1038/s41586-025-09705-5
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)やA型インフルエンザウイルス(IAV)は、ZBP1(Z-form-nucleic-acid-binding protein 1)によって開始される細胞死を誘導する。ZBP1はZ型RNA(Z-RNA)によって活性化され、HSV-1やIAV感染時にZBP1を活性化するZ-RNAはウイルス起源だと考えられてきた。これに対して、本論文で我々は、宿主細胞がコードするZ-RNAが、これら2種類のヒト病原体による感染後に、ZBP1を活性化する主要かつ十分なリガンドであることを示す。細胞のZ-RNAの大部分は、宿主細胞のmRNAの異常に長い3′伸長部分内に埋め込まれている、遺伝子間領域の内在性レトロエレメントにマッピングされた。こうした異常な宿主細胞転写物は、ウイルスによって駆動される現象である転写終結の破綻(DoTT)の結果として生じたもので、DoTTは、CPSF(cleavage and polyadenylation specificity factor)に媒介される新生mRNA前駆体の3′プロセシングを妨げる。ICP27やNS1(ウイルスがコードするタンパク質で、CPSFの阻害やDoTTの開始を担う)を欠損した変異型ウイルスは、宿主細胞Z-RNAの蓄積を誘導せず、ZBP1を刺激する能力が減弱していた。HSV-1のICP27やIAVのNS1の異所的発現、あるいはCPSF活性の薬理学的阻害は、宿主細胞Z-RNAの蓄積を誘導し、ZBP1を活性化した。これらの結果は、DoTTによって生じた細胞由来のZ-RNAが真正のZBP1リガンドであることを実証し、ZBP1が活性化する細胞死を、ウイルスによる細胞の転写装置の阻害に対抗する宿主応答として位置付けている。

