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生物工学:非侵襲性インスリン経皮投与のための皮膚透過性ポリマー

Nature 648, 8093 doi: 10.1038/s41586-025-09729-x

非侵襲性の皮膚浸透は、適当な疎水性を持つ低分子治療薬(500 Da未満)を経皮送達するための便利な方法として広く用いられている。しかし、大きな化合物(特に合成高分子〔ポリマー〕、タンパク質、ペプチド)は皮膚の構造が手ごわい障壁となるために、皮膚浸透は実行不可能だとずっと考えられてきた。今回我々は、迅速に皮膚に浸透する双性イオン重合体ポリ[2-(N-オキシド-N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリル酸](OP)が、角質層、生きている表皮と真皮に効率良く浸透して、循環に到達し得ることを明らかにする。OPはプロトン化して陽イオン性となるので、酸性の皮脂、また脂肪酸を含む傍細胞角質層の脂質中に濃縮され、その後、角質細胞間の脂質ラメラを通して拡散する。角質層の下に入ると、正常な生理的pHの下でOPは中性の双性イオンとなり、細胞膜上を「動き回る」ので、表皮と真皮を通って効率の良い移動が可能になり、最終的に真皮のリンパ管、そして体循環へと入る。その結果、OPに結合させたインスリンは効率良く皮膚を通って浸透し、血液循環へと入る。このOP結合型インスリンを1型糖尿病のマウスに投与量116 U kg−1で経皮投与すると、血糖値が正常範囲にまで速やかに低下した。また糖尿病のミニブタへの経皮投与では、29 U kg−1で血糖値が正常化した。このように皮膚透過性ポリマーを用いれば、インスリンの非侵襲性経皮送達が可能になり、糖尿病患者を皮下注射から解放できるかもしれない。また他のタンパク質もしくはペプチドをベースとして用いる治療薬も、経皮送達することで患者の負担が軽減され、利用しやすくなる可能性がある。

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