Article

素粒子物理学:MicroBooNEにおける2本のニュートリノビームを用いた軽いステライルニュートリノの探索

Nature 648, 8092 doi: 10.1038/s41586-025-09757-7

ニュートリノに3つの異なるフレーバー、すなわち、νeνμντが存在することは、素粒子物理学の標準模型における中心的な教義である。量子力学的干渉により、最初にあるフレーバーだったニュートリノが、後の時点で別のフレーバーとして検出できることがあり、この過程はニュートリノ振動と呼ばれる。この3フレーバーの描像と矛盾する数例の異常な観測結果は、物質と直接は相互作用しない別のニュートリノ状態、いわゆるステライルニュートリノνsの存在を仮定する動機となってきた。こうしたアノマリーには、液体シンチレーターニュートリノ検出器(LSND)実験およびミニブースターニュートリノ実験(MiniBooNE)で得られたものが含まれ、これらは、3ニュートリノの描像と矛盾する距離でのνμνe遷移と整合する。今回我々は、2本の加速器ニュートリノビーム中に置かれたMicroBooNE液体アルゴンTPC(time projection chamber)から得られたデータを用いて、LSNDとMiniBooNEのアノマリーを単一の軽いステライルニュートリノとする解釈を、95%の信頼水準で排除した。さらに、ガリウムのアノマリーを説明できる可能性のあるパラメーター空間の顕著な部分も排除した。これは、2本の加速器ニュートリノビームを使用してνeの出現と消失の間の縮退を破った最初の測定結果の1つであり、これ以外の方法であればステライルニュートリノ仮説に対する感度が弱まると考えられる。非標準的なフレーバー振動を示す可能性があるνμνeフレーバー遷移またはνe消失の証拠は見られなかった。今回の結果は、νμνe遷移と矛盾しない以前の異常な観測結果が、単一のステライルニュートリノ状態の導入では説明できないことを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度