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腫瘍生物学:SPP1は膵臓がんでの間充織細胞の運命維持に必要である
Nature 648, 8092 doi: 10.1038/s41586-025-09574-y
腫瘍細胞間コミュニケーションの複雑なネットワークの解明は、膵管腺がん(PDAC)の細胞運命の決定と進行を理解する際の中心となる。我々は以前に、間葉系PDAC細胞が分泌するBMPアンタゴニストGREM1によるBMP活性の持続的抑制が、上皮PDAC細胞の運命維持に不可欠であることを報告した。今回我々は、SPP1(別名オステオポンチン)が膵臓がんでの間充織細胞の運命の重要な調節因子であることを明らかにする。PDAC患者の血漿のプロテオーム解析から、SPP1は疾患後期に大幅に上方調節されていることが分かった。マウスPDACモデルでは、Spp1の不活性化が腫瘍形成の遅れにつながり、転移形成が見られなくなった。Spp1は上皮性PDAC細胞で発現しており、Spp1を不活性化すると、間葉系PDAC細胞から上皮性PDAC細胞への転換が起こった。機構的には、SPP1は間葉系PDAC細胞上のCD61受容体に結合して、Bmp2とGrem1の発現を誘導し、GREM1によるBMPシグナル伝達の阻害は上皮細胞でのSpp1発現に必要であり、それが細胞間の調節性ループを形成している。Grem1を同時に不活性化すると、Spp1ノックアウトの上皮性表現型が解消されて、完全に間葉系PDACへと戻った。逆に、Grem1ヘテロ接合とSpp1ノックアウトが組み合わされると、野生型PDACと同じ組織学的性質につながり、この結果は両因子の直接的な拮抗作用を確証している。このように、間葉系PDAC細胞と上皮性PDAC細胞の運命は、可溶性因子であるGREM1とSPP1の相互的なパラクリン調節によって決定されている。

