超伝導キュービット:2Dトランズモンキュービットにおけるミリ秒の寿命とコヒーレンス時間
Nature 647, 8089 doi: 10.1038/s41586-025-09687-4
材料の改良は、超伝導キュービットの損失とデコヒーレンスを低減させる強力な手法であり、それは、そうした改良が大規模プロセッサーに容易に展開できるからである。最近の研究では、ベース層としてタンタル、基板としてサファイアを使用することによって、トランズモンのコヒーレンスが向上している。こうしたデバイスにおける損失は二準位系が支配的であり、表面の誘電体とバルクの誘電体の両者が同程度に寄与しているため、最先端技術で大幅な改良を達成するには、この両者の問題に対処する必要がある。今回我々は、基板を高抵抗シリコンに置き換えることで、バルク基板損失を大幅に低減させ、45キュービット全体で時間平均品質係数(Qavg)が9.7 × 106の二次元(2D)トランズモンを実現した。我々の最良のキュービットでは、1.5 × 107というQavgが達成され、最大Qは2.5 × 107に達した。これは最高1.68 msという寿命(T1)に相当する。この低損失により、ジョセフソン接合に関連するデコヒーレンス効果も観測可能になり、我々は、改良された低汚染接合堆積法を用いて、T1を超えるハーンエコー・コヒーレンス時間(T2E)を達成した。材料のこうした改良は、キュービットアーキテクチャーにいかなる変更を加えることなく達成され、これにより、標準的な量子制御ゲートを容易に組み込むことが可能になった。我々は、99.994%の忠実度で単一キュービットゲートを実証した。タンタル・オン・シリコンのプラットフォームは、ウエハー規模での製造が可能であると考えられる単純な材料積層構造からなっており、従って大規模量子プロセッサーに容易に展開できる。

