系統学:系統学的な確信度をパンデミック規模で評価する
Nature 647, 8089 doi: 10.1038/s41586-025-09567-x
系統学は進化生物学とゲノム疫学において中心的な役割を担っている。従って、系統学的な確信度(confidence)と信頼度(reliability)の評価は非常に重要であり、これを行うフェルゼンシュタインのブートストラップ法から派生した方法などは、現代科学で最も広く使われているものの1つである。しかし、これらの方法は膨大な計算能力を必要とし、大規模なデータセットには適していない。さらに、これらの方法の大半は、クレード(単系統のタクソンをまとめたもの)への所属に注目することから生まれたもので、そのため、それらの結果をゲノム疫学の文脈で解釈することは難しい。今回我々は、系統樹の確信度を評価する効率的で解釈可能な手法SPRTA(subtree pruning and regrafting-based tree assessment)を提案する。SPRTAは、系統学的な支持率評価のパラダイムを、クレードの確信度の評価から、例えば、ある系統が考慮した別の系統から進化したかどうかを評価するといった、進化史や系統学的な位置決めへとシフトさせるもので、これは特にゲノム疫学において有用である。我々はSPRTAを用いて、200万例以上の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のゲノムの関係を示している全世界公開の系統樹を調べることで、多くのSARS-CoV-2変異株についての説得力のある別の進化的起源を明らかにして、Pangoアウトブレイク(集団発生)系統分類システムの信頼度を評価するとともに、推定された変異率への系統学的不確実性の影響を実証した。我々の結果は、SPRTAが、伝播歴と変異歴について、パンデミック規模で詳細な確率論的評価を可能にすることを示している。我々の方法は、系統学的な確信度を評価し、パンデミック規模の系統学的解析の解釈可能性を高め、今後のパンデミックに備えて対応する能力を向上させる新たな手法を提示している。

