Article
構造生物学:リソソーム膜上でのmTORC1活性化の構造基盤
Nature 647, 8089 doi: 10.1038/s41586-025-09545-3
mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)は増殖因子(GF)と栄養シグナルを統合して細胞増殖に結び付いている同化過程を刺激し、オートファジーのような異化過程を阻害する。結節性硬化症複合体を介するGFシグナル伝達は、リソソームに局在している低分子量GTPアーゼであるRHEB(RAS homologue enriched in brain)を調節している。RHEB–GTPは、mTORC1のmTORキナーゼサブユニットに直接結合することにより大規模なコンホメーション変化を誘起して、キナーゼをアロステリックに活性化する。今回我々は、膜上でRHEBとRAGおよびRagulatorによって起こるmTORC1活性化を再構成した。クライオ電子顕微鏡によって、RAPTORとmTORが膜と直接相互作用することが示された。mTORキナーゼ活性部位中で触媒残基が最適な配置をとるためには、膜アンカーの完全な結合が必要である。GFと栄養素からの収束したシグナルにより、mTORC1はリソソーム膜上に集められて活性化されるが、この過程は(1)RAG–Ragulatorにより駆動されるリソソーム膜近傍(100 Å以内)への集合、(2)RHEBにより駆動される40 Å以内の集合、(3)RAPTORと膜の結合および中間的な酵素活性化、(4)mTORと膜との結合と完全な酵素活性化の4段階からなることが分かった。RHEBと膜結合が組み合わさって、これが完全な触媒活性化につながり、リソソームでのGFと栄養シグナルの統合が構造学的に説明された。

