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遺伝学:ABCA7バリアントはニューロンのホスファチジルコリンとミトコンドリアに影響を与える
Nature 647, 8089 doi: 10.1038/s41586-025-09520-y
脂質輸送体ABCA7の機能喪失バリアントは、アルツハイマー病のリスクを大幅に高めているが、それが細胞の状態にどのように影響を与えて疾患を誘発するのかは分かっていない。今回我々は、ヒト脳試料で単一核RNA塩基配列解読解析を行い、まれなABCA7遺伝子機能喪失バリアントに関連する、複数の神経細胞タイプにわたる広範な遺伝子発現変化を突き止めた。ABCA7の発現レベルが最も高い興奮性ニューロンでは、脂質代謝、ミトコンドリア機能、DNA修復、シナプス信号経路に障害が見られた。類似の転写障害は、ありふれたアルツハイマー病関連バリアントであるABCA7 p.Ala1527Glyを持つニューロンにも起きており、分子動態シミュレーションの予測によって、このバリアントはABCA7のタンパク構造を変化させると予測された。ABCA7の機能喪失バリアントを持つ誘導多能性幹(iPS)細胞由来ニューロンは、これらの転写変化を再現し、このことは、ミトコンドリア機能障害、酸化ストレスの増大、ホスファチジルコリン代謝の障害を示している。CDPコリンを補充することで、ホスファチジルコリン合成が高まり、これらの異常が逆転して、アミロイドβの分泌やニューロンの過興奮性(ABCA7機能障害によって悪化するアルツハイマー病の特徴)が正常化した。今回の結果は、ABCA7に関連したアルツハイマー病のリスクに、ホスファチジルコリン代謝の障害が関与していることを示しており、有望な治療手法を明確に示している。

