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がん:力学的な拘束が黒色腫で表現型の可塑性を支配する
Nature 647, 8089 doi: 10.1038/s41586-025-09445-6
表現型転換は細胞の可塑性の一形態で、この転換においてがん細胞は2つの正反対な状態、すなわち増殖状態と浸潤状態の間を可逆的に移動する。このような表現型の切り替えは外部からの合図が引き金となって起こるという仮説がずっと以前から出されているが、合図の正体はいまだに解明されていない。今回我々は、力学的な拘束がクロマチンの再構築を介して表現型転換に関与することを示す。我々はまず、黒色腫のゼブラフィッシュモデルをヒト試料と組み合わせて用いて、腫瘍とそれを囲む周辺の微小環境との境界面にある腫瘍細胞の特性を明らかにした。境界面の細胞の形態分析からは、隣接組織による力学的拘束を示唆する楕円形の核が見られた。単一細胞の空間的トランスクリプトミクスによって、境界面の細胞はニューロン浸潤性の遺伝子プログラムを選択しており、それには移動の際に核を保護するアセチル化チューブリンのケージの獲得も含まれていた。我々は、拘束が誘導するニューロン状態のメディエーターとして、DNAを屈曲させるタンパク質HMGB2を明らかにした。拘束された細胞ではHMGB2の発現が亢進しており、定量的モデル作成によって、拘束がHMGB2とクロマチンの接触時間を長引かせることが、クロマチンの立体構造変化につながり、ニューロンの表現型に有利に働くことが明らかになった。HMGB2の遺伝学的破壊によって、これが増殖状態と浸潤状態のトレードオフを制御しており、拘束されたHMGB2high腫瘍細胞は増殖性が低いが、薬剤耐性が強いことが明らかになった。これらの知見は、黒色腫では力学的微小環境が表現型転換を促進する機構であることを示唆している。

