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量子材料:カゴメ結晶における多体干渉
Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-09659-8
金属中の電子が集団的に振る舞うとき、個々の粒子の挙動を超えた創発現象や電子的機能が表れることがある。その中でも量子的にコヒーレントな集団的電荷運動は、これまで主に超伝導体でクーパー対の形成に伴って観測されてきた。今回我々は、カゴメ金属CsV3Sb5の常伝導相において、コヒーレントな集団的電荷輸送が存在することを示す実験的証拠を報告する。それは、面内磁場中のメゾ結晶ピラーにおける磁気抵抗振動として表れ、その周期性は隣接するカゴメ層間を貫く磁束量子h/eの数によって決まる。すなわち、実効的に層間アハロノフ・ボーム干渉計が形成されていることを意味する。この現象の協動的性質は、振動周期が飛び飛びの値を取り角度とともにその間を非解析的に移り変わることと、単一粒子の平均自由行程を超える長さスケールにわたる持続性とによって裏付けられた。とりわけ、振動の振幅はCsV3Sb5において報告されてきた他の異常な電子応答と整合した振る舞いを示しており、内在的なコヒーレンスを確立させる共通の機構の存在を示唆している。これらの発見は、カゴメ金属における相関秩序の本質に関する議論に新たな光を当てるとともに、超伝導を伴わない長距離コヒーレント電荷輸送を実現するプラットフォームとしてCsV3Sb5を確立するものである。これは、従来のモデルを超えた相関電子系におけるコヒーレンスの新たな方向性を切り開くものである。

