Perspective

神経科学:ヒトおよび哺乳類の脳の発生・発達を理解するための新フロンティア

Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-09652-1

認知機能障害や行動障害、運動障害を引き起こす神経発達障害は、世界中で約15%の小児や青年に影響を与えており、米国では重度の自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断が増加していて、大きな経済的負担となっている。しかし、これらの疾患の起源と機序についてはほとんど分かっておらず、治療法の進展が妨げられている。発生・発達中のヒト脳の包括的な細胞アトラスは現在、マウスや非ヒト霊長類のアトラスと並んで、遺伝子発現、細胞タイプの存在量と空間分布について、高分解能の評価基準をもたらしている。本Perspectiveで我々は、発生・発達中に見られる新規の細胞集団を特定し、細胞の発生・移動・成熟について種をまたいで保存されているパターンと種によって異なるパターンを明らかにし、さらにそれらを細胞運命指定の転写制御から複雑な行動の発現に至るさまざまな過程と関連付ける仮説の検証を開始した、最近の一連の研究を取り上げる。我々はまた、残されている概念的および技術的課題を提示し、ヒトや哺乳類の脳の発生・発達に関する今後の研究が、神経発達障害や神経精神障害についての理解をいかに深められるかという展望を示す。今後の取り組みを、青年期を含む他の発達段階や、脳全体、マルチモーダル、種横断的統合にまで拡大することにより、発達中に脳がどのように形作られるかについての新たな知見がもたらされるだろう。これらのアトラスは、脳の機能や疾患脆弱性の機構を解明し、精密医療を進展させるために不可欠な参照情報となることが期待される。

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