神経科学:哺乳類の線条体介在ニューロンの保存と変化
Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-09592-w
哺乳類の脳のサイズ、構造、機能は多様であるが、この多様性に、進化的に新規の細胞タイプがどの程度寄与しているのかは明らかにされていない。これまでの研究では、霊長類特異的な線条体抑制性介在ニューロンであるTAC3介在ニューロンの存在が示唆されている。しかし、細胞タイプ進化における新規性について調べるには、より幅広い分類学的および発生学的な特性解析が必要である。本研究で我々は、霊長類から1億6000万年の間に分岐した10種の哺乳類で、抑制性ニューロンにおける遺伝子発現を調べた。その結果、発生過程で指定される新生仔のTAC3介在ニューロンの初期クラスは、祖先型の内側基底核原基(MGE)に由来する線条体集団であり、この集団はブタやフェレットの皮質にも存在することが分かった。この発見は、TAC3タイプがないと考えられているマウスを含むグリレス大目(Glires)の再検討を促した。マウスにおいてMGE前駆細胞を標的として濃縮したところ、Tac2(TAC3のマウスオルソログ)の発現低下とThの発現増加によって覆い隠されていた、TAC3の初期クラスの保存が明らかになった。これらの解析を成体の線条体にまで拡張したところ、霊長類のTAC3線条体介在ニューロンとマウスのTh線条体介在ニューロンの相同性がさらに裏付けられ、さらに、マウスの腹内側線条体にまれなTac2亜集団が見つかった。本研究は、終脳の抑制性ニューロンの初期クラスはおおむね保存されていること、そして、進化の過程で哺乳類脳のニューロンタイプは、発生初期に新規の前駆細胞が派生することによってではなく、再分布と運命の精緻化を通じて変化することを示唆している。

