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生物学的手法:共変動MSによって明らかになったシステインの異化を制御するタンパク質
Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-09535-5
タンパク質による代謝過程の調節は生物学における基本的な現象だが、いまだに完全には解明されていない。今回我々は、質量分析(MS)を基盤にした手法を開発し、遺伝的多様性を活用して、生体組織内の285種類の代謝産物と1万1868種類のタンパク質の間の機能的関係性を明らかにした。この手法では、直接の物理的結合と局所的代謝経路の調節を介してタンパク質と代謝産物の機能的関連性を再現するとともに、これまで知られていなかった3542の関連性を指摘した。これを基盤にして、肝臓のシステイン利用とコレステロール処理の調節機構を突き止め、これまで詳細が知られていなかったタンパク質LRRC58によって調節されていることを明らかにした。LRRC58は、酵素CDO1のプロテアソームによる分解に関わるE3ユビキチンリガーゼの基質アダプターであることが分かった。CDO1は、システインからタウリンへの異化バイパス経路の律速酵素である。LRRC58を介したCDO1分解はシステインの存在量によって調節されており、LRRC58が欠乏するだけでCDO1が十分に安定化され、システインの消費が進むとタウリンの産生が促進される。タウリンはコレステロールの処理に中心的な役割を担っていて、肝臓からのコレステロールの排出を促進する。さらに、肝細胞でLRRC58を欠乏させると、システインからタウリンへの流れが亢進し、マウスでは肝臓のコレステロールが減少することが判明した。システイン異化のLRRC58による制御機構の解明は、代謝過程のタンパク質による調節様式を明らかにする際の、共変動MSの有用性の好例である。

