神経科学:終脳のGABA作動性ニューロンのトランスクリプトーム的および空間的な構成
Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-09296-1
哺乳類脳の終脳には複数の領域と回路が含まれ、それらは多様な脳機能で適応的および統合的な役割を担っている。終脳のGABA作動性ニューロンは多様で、多くの回路機能を担っており、これらのニューロンの機能不全はさまざまな脳障害と関連付けられている。今回我々は、マウスの終脳全領域のGABA作動性ニューロンの各タイプについて、トランスクリプトーム的および空間的な構成とそれらの発生起源に関する体系的で詳細な解析を行った。この作業は、若齢成体マウスの61万1423個の細胞の単一細胞トランスクリプトームと、出生前後の複数の発生・発達時点から集めた61万4569個の細胞の単一細胞トランスクリプトームを用いることで達成された。我々は、階層的に構成された成体終脳のGABA作動性ニューロンの細胞タイプの分類(7つのクラス、52のサブクラス、284のスーパータイプ、1051のクラスター)と、これに対応する発生・発達段階の分類(胚齢7日目から生後日齢14日目までの1688のクラスター)を提示する。詳細なマッピングの試みから高度な複雑さが明らかになり、細胞タイプ間の関係性が空間的位置と発生起源の両方を反映していることが分かった。トランクリプトーム的および発生的に関連した細胞タイプは遠く離れたさまざまな脳領域でよく見つかり、これは、長距離移動と分散が終脳GABA作動性ニューロンのほぼ全ての細胞タイプに共通する特徴であることを示している。また、関連する細胞タイプにおける離散的な多様性と連続的な多様性の両方のさまざまな空間次元が、遺伝子発現の勾配と相関していることも分かった。さらに、皮質、線条体、一部の淡蒼球のGABA作動性ニューロンが、出生後に大規模な多様化を遂げるのに対し、中隔、視索前野、大部分の淡蒼球のGABA作動性ニューロンのタイプは胚期に爆発的に出現して、出生後の多様化は限定的であることが見いだされた。総合すると、終脳のGABA作動性ニューロンの細胞タイプの分類は、全コミュニティーによる細胞タイプと回路の分子的・構造的・機能的研究の参照基準として役立つだろう。

