Article
神経科学:感覚入力、性別、機能が視床下部の細胞タイプの発達を形作る
Nature 647, 8088 doi: 10.1038/s41586-025-08603-0
哺乳類の行動と生理は、生後早い時期に大きく変化する。幼若動物は同種の個体に依存して欲求を満たすが、栄養面での独立と性特異的な社会的相互作用を、それぞれ離乳期と春機発動期に示し始める。しかし、恒常性機能や社会的行動を調節する神経集団が、こうした移行の際にどのように発達するかは未解明である。今回我々は、トランスクリプトームとクロマチンアクセシビリティーをペアとしたプロファイリングを利用し、生理と行動の制御に重要な役割を持つ複数の細胞タイプが特定されている視床下部視索前野の神経集団について、発達の軌跡を調べた。得られたデータから、動物の性および各細胞タイプの位置や行動・生理機能によって、発達軌跡が著しく多様化することが分かった。我々は、早期の多様化、周産期の性差出現、出生後の成熟とシグナル伝達ネットワークの精緻化、離乳期と春機発動期に加速する非線形的な転写変化など、視索前野の発達上重要な複数の段階を特定した。さまざまな感覚機能バリアントの視索前野の発達を検討したところ、視索前野細胞タイプが成熟するタイミングで、鋤鼻器官感覚が重要な役割を果たすことが分かった。今回の結果は、恒常性機能と社会的行動を制御するニューロン群の発達に関する新たな手掛かりとなり、生後早期に起こるこれらの機能の動態を調べるための基盤を築くものである。

