ニュートリノ物理学:T2K実験およびNOvA実験によるニュートリノ振動の共同解析
Nature 646, 8086 doi: 10.1038/s41586-025-09599-3
ニュートリノが質量を持ち、伝播する際にその種類(すなわちフレーバー)を変える現象、いわゆるニュートリノ振動の画期的な発見は、現在も活発に研究されているさまざまな理論的・実験的課題を切り拓いた。ニュートリノ振動は依然として、多くの疑問を解明するための最も強力な実験ツールである。ニュートリノが電荷・パリティ(CP)対称性を破るかどうかもその1つで、これは宇宙において物質が反物質よりも圧倒的に優勢であるという未解明の現象と関連している可能性がある。また、ニュートリノ振動の測定によって、異なるニュートリノ質量状態間の質量二乗差(Δm2)、2つの軽い状態と1つの重い状態が存在するのか(正順序)、またはその逆なのか(逆順序)、そして、ニュートリノの質量とフレーバー混合の構造を調べることができる。本研究で我々は、現在稼働中の2つの長基線ニュートリノ振動実験(ニュートリノの飛行距離は数百キロメートル)であるNOvAとT2Kのデータセットを初めて共同解析し、補完的な実験設計を利用して、ニュートリノセクターのいくつかのパラメーターに新たな制限を与えた。この解析により、質量二乗差Δm232の新たな精度として、正順序では2.43+0.04−0.03 × 10−3 eV2、逆順序では−2.48+0.03−0.04 × 10−3 eV2を得た。また、CP位相δCPの3σ信頼区間として、正順序で[−1.38π, 0.30π]、逆順序で[−0.92π, −0.04π]を得た。このデータはどちらかの質量順序を強く支持するものではないが、とりわけ、3世代フレーバー混合モデルにおいて逆順序が正しいと仮定した場合、今回の結果はレプトンセクターにおけるCP対称性の破れの証拠となるだろう。

