Article

分光学:サブオングストロームのスナップショット分光法に向けた集積ニオブ酸リチウムフォトニクス

Nature 646, 8085 doi: 10.1038/s41586-025-09591-x

分光法は、材料や環境の物理的構造や化学的組成を決定する極めて重要なツールであり、さまざまな科学分野にわたって広く使用されている。従来の分光学的技術は狭スリットや回折格子の上に成り立っているが、これらにはスペクトル分解能と光透過率の間のトレードオフが課されるので、高感度と高効率を同時に実現する測定は不可能であった。今回我々は、ニオブ酸リチウム系の再構成可能な集積フォトニクスを用いてこのトレードオフの解消を狙った、サブオングストロームの超高透過率スナップショット分光技術「RAFAEL」を提示する。この設計は、ピクセル単位で電気的に調整可能なスペクトル応答性を有する干渉マスクとしてバルクのニオブ酸リチウムを含み、高い光透過率でピコメートルスケールの変調を行う。我々の手法によって、400~1000 nmで約0.5 Åのスペクトル分解能(R = 1万2000)、2048 × 2048の空間分解能、73.2%の全光透過率を示す、88 Hzのスナップショット分光が実現した。RAFAELは、広範な実験で実証されたように、最先端の分光撮像装置と比較して2倍の全透過率とほぼ2桁向上したスペクトル分解能をもたらす。具体的に、RAFAELは、1回のスナップショットで最大5600個の星について全ての原子吸収ピークを含むサブオングストロームのスペクトルを捉えており、これは、世界最高クラスの天文分光器と比較して100~1万倍の観測効率の向上を示している。高性能でありながら容易に集積化可能なこのスナップショット分光法は、材料科学から天体物理学までさまざまな分野の発展をけん引する可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度