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トランスクリプトミクス:老化中のヒト脳における単一細胞レベルでのトランスクリプトームとゲノムの変化
Nature 646, 8085 doi: 10.1038/s41586-025-09435-8
時間の経過とともに、脳や体の細胞には損傷が蓄積し、老化過程の一因となる。ヒトの脳では、前頭前皮質で老化に関連した変化が起こり、後年、認知機能に影響を及ぼす可能性がある。今回我々は、単一核RNA塩基配列解読(snRNA-seq)、単一細胞全ゲノム塩基配列解読(scWGS)および空間トランスクリプトーム解析を用いて、乳児期から100歳以上まで、生涯にわたるヒト前頭前皮質における遺伝子発現とゲノムの変化を明らかにした。snRNA-seqでは、神経発達遺伝子を高発現する乳児特異的な細胞クラスターが見つかり、さらに、あらゆる細胞タイプでリボソームや輸送、代謝において機能する、細胞に必須の恒常性遺伝子が老化に伴って、共通して発現低下することが分かった。逆に、ニューロン特異的遺伝子の発現はほとんどの場合、生涯を通じて安定を保っていた。これらの知見は、空間トランスクリプトミクスによって確認された。scWGSでは、それぞれ遺伝子転写および遺伝子抑制とそれぞれ相関する、2つの老化関連変異シグネチャーが見つかり、また、ニューロンにおける遺伝子長と発現レベルに依存した体細胞変異率が明らかになり、これはヒト老化脳のトランスクリプトーム全体像と相関していた。我々の結果は、ヒト脳の発生や老化の重要な側面についての手掛かりをもたらし、トランスクリプトームとゲノムの動態に光を当てるものである。

