Article
材料科学:高エントロピー合金合成のための等温凝固
Nature 646, 8084 doi: 10.1038/s41586-025-09530-w
急速な冷却凝固を通した高温状態の速度論的トラップは、高エントロピー合金(HEA)、特に、本質的に非混和性である元素の組み合わせの合金の合成に広く用いられている。しかし、HEAの結晶性、構造、形態の制御においては急速冷却凝固の根本的な限界が存在し、そうした限界を克服するための戦略の開発が必要とされている。今回我々は、低温(例えば25〜80℃)で液–液界面反応を通じて金属合金の組成を急速に変化させることによる、HEA合成のための等温凝固戦略を報告する。我々は、ガリウム(Ga)系金属を犠牲剤および混合媒質として用いた。反応を、Ga系液体金属と金属イオン水溶液の界面に誘導することによって、溶液由来の金属イオンをこの界面で還元して液体金属中に速やかに取り込むことができる。さまざまな結晶性(単結晶、メソ結晶、多結晶、非晶質〔アモルファス〕)、形態(ゼロ次元、二次元、三次元)、そして組成を有するHEAが、この等温凝固によって実現できた。Gaは完全に消費でき、その結果GaフリーHEAが得られるが、必要に応じてGaを最終生成物中の金属元素の1つとすることもできる。in situ液相透過型電子顕微鏡(TEM)研究と理論解析により、この等温凝固の機構が明らかになった。我々の直接観察の結果は、液体金属元素の混合の促進と、核生成ダイナミクスの揺らぎを伴う凝固過程を示している。今回の等温凝固法は、HEA合成において高エントロピー状態を速度論的にトラップするという、未開拓の経路を通した強力な戦略である。

