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がん代謝:ヒト脳腫瘍の増殖を助長する皮質でのグルコース代謝の再配線
Nature 646, 8084 doi: 10.1038/s41586-025-09460-7
脳は、神経生理機能の燃料としてグルコースを著しく消費する。グリオブラストーマ(膠芽腫)などの脳腫瘍は、生理的な完全性を放棄し、増殖して健常組織に浸潤する能力を獲得する。脳腫瘍が、どのようにしてグルコースの使途を再配線し、悪性度の高い増殖を駆動するのかは未解明である。今回我々は、13Cで標識したグルコースを、脳腫瘍を持つヒト患者やマウスに投与し、定量的な代謝フラックス解析を組み合わせて、腫瘍および皮質でのグルコース由来炭素の運命をマッピングした。皮質とグリオーマ(神経膠腫)組織において、炭素標識と窒素標識による直接的かつ包括的な測定を行った結果、代謝の大規模な転換が明らかになった。ヒト皮質では、グルコースの炭素は、トリカルボン酸回路の酸化や神経伝達物質合成などの不可欠な生理的過程に供給された。一方、グリオーマはこれらの過程を下方制御して、環境からアミノ酸などの代替炭素源をかき集め、グルコース由来の炭素を増殖と浸潤に必要な分子の生成に割り当てていた。マウスで食餌中のアミノ酸を調整してこの代謝再配線を標的化すると、グリオブラストーマの代謝が選択的に変化し、腫瘍増殖が遅くなり、標準治療の効果が増強された。今回の知見は、悪性度の高い脳腫瘍がどのようにグルコースを利用して正常な生理的活動を抑制し、悪性増殖を促すかを明らかにし、治療転帰の向上を期待できる治療戦略を提示している。

