環境科学:2023年のカナダの山火事による長距離PM2.5汚染と健康への影響
Nature 645, 8081 doi: 10.1038/s41586-025-09482-1
2023年にカナダで発生した一連の極端な山火事の煙は、多くの地域の大気質に悪影響を及ぼした。今回我々は、人工衛星観測、機械学習、化学的輸送モデルを用いて、2023年のカナダの山火事に関連した全球的および地域的なPM2.5(直径2.5 μm以下の粒子状物質)曝露と人類の健康への影響を定量化した。その結果、これらの山火事によって年間のPM2.5曝露が世界中で0.17 μg m−3(95%信頼区間:0.09~0.26 μg m−3)増加したことが見いだされた。年平均で曝露が最も大きく増加したのは北米であった(1.08 μg m−3;0.82~1.34 μg m−3)が、長距離輸送に起因してヨーロッパでも増加が見られた(0.41 μg m−3;0.32〜0.50 μg m−3)。カナダでは、年間の平均PM2.5曝露が3.82 μg m−3 (3.00~4.64 μg m−3)増加した。米国では、PM2.5増加へのカナダの山火事の寄与は1.49 μg m−3(1.22~1.77 μg m−3)と、米国内で発生した2023年の山火事の寄与の4倍であった。我々は、北米とヨーロッパで、2023年のカナダの山火事で生じた日々のPM2.5大気汚染にさらされた人は、3億5400万人(2億7700万~4億2100万)に上ることを見いだした。また、北米における5400(3400~7400)人の急性死と6万4300(3万7800~9万900)人の慢性死の原因が、2023年のカナダの山火事のPM2.5曝露に帰属されると見積もられた。今回の結果は、大規模な山火事が単年でも広範なPM2.5汚染と健康負荷をもたらし得ることを浮き彫りにしている。

