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神経科学:ミトコンドリア起源の睡眠圧

Nature 645, 8081 doi: 10.1038/s41586-025-09261-y

睡眠要求の基礎となる可能性のある脳の分子的変化について、網羅的かつ偏りのない展望を得るために、我々はこれまで、安静時および断眠中のハエから単離した単一細胞のトランスクリプトームの特徴付けを行ってきた。今回我々は、断眠後に発現上昇する転写物は、脳全体ではなく背側扇状体(dFBN)に投射する睡眠制御ニューロンに限局していて、それらがコードするタンパク質はほぼ例外なくミトコンドリアの呼吸とATP合成に関与していることを報告する。これらの遺伝子発現変化は、ミトコンドリアの断片化、マイトファジーの亢進、ミトコンドリアと小胞体の接着点数の増加を伴っており、その接着点は過酸化脂質の補充のための経路となる。こうした形態学的な変化は、回復睡眠後に復元するが、呼吸鎖における電子のオーバーフロー処置を行うと鈍化した。dFBNにおいてミトコンドリアの分裂・融合を誘発または阻害すると、睡眠と睡眠制御細胞の電気的性質が相反方向に変化した。すなわち、ミトコンドリアの過融合はニューロンの興奮性と睡眠を増やし、逆にミトコンドリアの断片化はそれらを減らした。強制覚醒によってdFBNのATP濃度は上がるが、それは覚醒によってdFBNニューロンが抑制されてATP消費が下がるためであり、その結果、ミトコンドリアの電子漏出は増す。この見解と符合して、ATP合成から電子流を脱共役させると睡眠圧は緩和されるが、光駆動プロトンポンプを介するATP合成の駆動によって電子の供給とATP要求の不一致が増悪すると、睡眠が促進された。睡眠は、老化と同様、好気代謝の不可避的な帰結である可能性がある。

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