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量子物理学:蛍光タンパク質スピンキュービット
Nature 645, 8079 doi: 10.1038/s41586-025-09417-w
量子ビット(キュービット)は、初期化、読み出し、コヒーレント制御を支持する2準位量子系である。光学的にアドレス可能なスピンキュービットは、新世代のナノスケールセンサーの基礎となっている。こうしたキュービットの操作では、主に固体系に重点が置かれてきた。一方で、蛍光タンパク質は、外因性の蛍光プローブではなく、遺伝的にコード化が可能なためin vivo顕微鏡法のゴールドスタンダードとなっている。蛍光タンパク質は、準安定な三重項状態を有するが、キュービットとして調べられたことはなかった。今回我々は、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP)において、光学的にアドレス可能なスピンキュービットを実現した。近赤外レーザーパルスにより、最高20%のスピンコントラストで三重項状態のトリガー読み出しが可能になった。我々は、液体窒素温度下で、EYFPスピンのコヒーレントなマイクロ波制御を用い、Carr–Purcell–Meiboom–Gill(CPMG)デカップリング下で(16 ± 2) μsのコヒーレンス時間を測定した。そして、哺乳類細胞内でこのキュービットを発現させたところ、複雑な細胞内環境にもかかわらずコントラストとコヒーレント制御が保持された。さらに我々は、室温の細菌細胞内で最高8%のコントラストで磁気共鳴が光学的に検出されることを実証した。今回の結果は、蛍光タンパク質が強力なキュービットプラットフォームとなることを提示しており、これによって、例えばナノスケール場センシングやスピンを用いた画像診断法といった生命科学における応用の道が開かれる。

