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分析化学:電子線回折による部分電荷の実験的決定
Nature 645, 8079 doi: 10.1038/s41586-025-09405-0
原子部分電荷は、分子構造、相互作用、反応性を理解する上で不可欠であるが、依然として厳密な量子力学的定義のなされていない曖昧な概念である。原子部分電荷の正確な決定は、例えば化学合成、応用材料科学、理論化学など、さまざまな分野に非常に広範な影響がある。こうした電荷は、化学過程の計算顕微鏡として機能し得る分子動力学シミュレーションにおいて極めて重要な役割を果たす。これまで、化合物中の個々の原子の部分電荷を定量化する一般的な実験的方法はなかった。今回我々は、電子線回折による結晶構造決定に基づいて部分電荷を割り当てる、いかなる結晶性化合物にも適用可能な実験的方法を提示する。今回の手法は、標準的な電子線結晶学のワークフローにシームレスに一体化され、専用のソフトウエアや高度な専門知識を必要としない。さらに、特定の化合物類にも限定されない。この方法の汎用性は、抗生物質のシプロフロキサシン、アミノ酸のヒスチジンとチロシン、無機ゼオライトのZSM-5など、多様な化合物への適用によって実証された。我々は、この新たな概念を「イオン散乱因子モデル化」と呼ぶ。この方法によって、分子構造をさらに包括的かつ精密に理解することが促進され、化学や材料科学の多分野にまたがって応用する機会が得られる。

