Review
計算機科学:物理ニューラルネットワークの訓練
Nature 645, 8079 doi: 10.1038/s41586-025-09384-2
物理ニューラルネットワーク(PNN)は、アナログ物理系を使用して計算を行う神経様ネットワークの一種である。PNNは現状、実験室での小規模な実証に限られているが、いつかは人工知能(AI)による計算実行の方法を変革する可能性がある。果たして我々は、現在のAIモデルよりも桁違いに大規模なモデルを訓練することができるようになるのだろうか。また、エッジデバイス上でローカルに、そして個人的にモデル推論を実行できるようになるだろうか。過去数年間の研究では、こうした疑問に対する答えが、おそらく「十分に研究すれば可能である」ことが示されている。PNNは、従来の計算ハードウエアよりも直接的で柔軟に、そして機会主義的にアナログ物理計算を使用できるので、AIシステムにとって何が実現可能で実用的であるかを変える可能性がある。しかしこれを実現するには主に、根底にあるハードウエアの物理的制約を通じて問題を考察することによって、AIモデルを動作させる方法と訓練するやり方の両方を見直し、大きな進歩を実現することが必要となる。PNNを訓練するには現在、誤差逆伝播に基づく手法と誤差逆伝播を必要としない手法が模索されている。これらの方法には、さまざまなトレードオフがあり、現状では、今日深層学習で広く用いられている誤差逆伝播アルゴリズムと同じ性能を持つ大規模モデルにまで拡張できる手法は示されていない。しかし、この課題は急速に変化しており、多様な訓練手法のエコシステムから、PNNを今後使用して現状規模のAIモデルをさらに効率的で大規模に実現し得るやり方についての指針が得られる。

