機械学習:生成ニューラルネットワークによる古代テキストの文脈化
Nature 645, 8079 doi: 10.1038/s41586-025-09292-5
人類の歴史は文字を記すことで生まれた。碑文は最古の文字記録であり、古代文明の思想、言語、歴史について直接的な知見をもたらす。歴史学者は、類似性(共通する表現方法、機能あるいは文化的背景を持つ碑文)を特定することで、より広い歴史的枠組み内でのテキストの文脈化を可能にし、復元や地理的・年代的帰属などの主要な作業を行う。しかし、現在のデジタル手法は、逐語的な対応付けと狭い歴史的範囲に限定されている。今回我々は、古代テキストの文脈化のための生成ニューラルネットワーク「Aeneas」を報告する。Aeneasはテキストの類似性と文脈の類似性を検索し、視覚情報を利用して、任意の長さでテキストを復元し、主要な作業の最高水準をさらに高める。その効果を評価するために、我々は歴史学者と共に、Aeneasの出力を研究の出発点として用いる大規模な調査を行った。その結果、歴史学者は、Aeneasによる類似性の検索結果が、90%の例で有用な研究の出発点となり、主要な作業での信頼度を44%向上させたと評価した。復元と地理的帰属の作業では、歴史学者とAeneasがペアを組んだ場合に優れた結果が得られ、人間単独や人工知能単独の場合の成績を上回った。年代決定では、Aeneasは真値(ground-truth)」の範囲から13年以内を実現した。我々は、有名なローマの碑文である『神君アウグストゥスの業績録(Res Gestae Divi Augusti)』中の主要な特質の解析を通して、歴史学的ワークフローに対するAeneasの貢献を実証し、自然科学と人文科学の統合が、いかに歴史学者を助け、過去についての理解を深めるための革新的なツールを作り出し得るかを示す。

