進化遺伝学:雄に必須のmiRNAは鳥類の性染色体の遺伝子量補償に重要である
Nature 645, 8079 doi: 10.1038/s41586-025-09256-9
鳥類は、雌が異型配偶子(ZW)で、雄が同型配偶子(ZZ)である性染色体系を持つ。鳥類では進化の過程で、祖先の常染色体から性染色体への分化により、W染色体からほとんどの遺伝子が喪失した。しかし、この雌での遺伝子量の大幅な減少を埋め合わせる機構がどの程度進化したかは分かっていない。今回我々は、Z連鎖マイクロRNA(miR-2954)についてのin vivo機能解析と進化解析について報告する。miR-2954は発現が強く雄に偏っており、以前は鳥類の性染色体の遺伝子量補償を仲介すると提案されていた。我々が、ニワトリでmiR-2954をノックアウトしたところ、ホモ接合のノックアウト雄では早期の胚致死が引き起こされた。これはおそらく遺伝子量感受性のZ連鎖標的遺伝子の特異的な発現上昇によって駆動されていると考えられる。さらに進化的遺伝子発現解析から、これらの遺伝子量感受性標的遺伝子が、雌の単一のZ染色体上で転写および翻訳の両面で上方調節されていることが明らかになった。全体として、この研究は、W染色体遺伝子喪失後の進化圧が、雌で遺伝子量感受性のZ連鎖遺伝子群の転写および翻訳の上方調節を駆動するだけでなく、雄でもこれらの遺伝子群の転写の上方調節を駆動したというシナリオを明らかにしている。雄では、2つの上方調節された遺伝子量感受性Z遺伝子コピーの活性が合わさった結果、転写産物が過剰になり、それが次に、鳥類の進化過程でmiR-2954を介した高度に標的化された転写産物分解機構の出現によって相殺された。この研究は、鳥類に見られる独特な性染色体遺伝子量補償系を明らかにしていて、この系では、1つのマイクロRNAが雄の生存に不可欠になっている。

