代謝:肥満と減量における脂肪ニッチの選択的リモデリング
Nature 644, 8077 doi: 10.1038/s41586-025-09233-2
減量は、肥満の人における代謝と心血管の健康を大幅に改善する。これらの多様かつ重要な臨床効果の中心をなしているのが、脂肪組織(AT)のリモデリングである。しかし、この根底にある機構について分かっていることは意外に少なく、治療の進展の障壁となっている。今回我々は、空間分解した単一核アトラス(70人から採取した17万1247個の細胞から構成される)により、肥満および治療的減量において、ヒトのAT、つまりは代謝の健康を再形成する、細胞のタイプ、分子事象、調節因子を調べた結果について報告する。代謝細胞、前駆細胞、血管細胞には老化に対する選択的な脆弱性があることが分かり、老化は減量によって強力に逆転することが明らかになった。我々は、老化、組織損傷、代謝機能不全の変性回路を駆動し得る遺伝子調節機構および組織シグナルを突き止めた。また、減量は、脂肪細胞の肥大や生体力学的制約経路を低減させ、全体的な代謝フラックスと生体エネルギー基質回路を活性化して、代謝の健康における全身的な改善を仲介する可能性があることが分かった。免疫区画では、減量は、肥満誘発性のマクロファージの浸潤を抑制する一方、マクロファージの活性化を完全には回復させないので、これらの細胞が潜在的な体重再増加を引き起こして、代謝機能不全を増悪するようプライミングされることが実証された。全体を通して、我々は、細胞を組織ニッチにマッピングすることで、組織損傷と回復の集合的な決定因子を解明した。総合的に、我々の相補的な単一核および空間のデータセットは、肥満におけるAT機能不全とその減量による逆転の基盤についての前例のない手掛かりを示しており、機構的および治療的な探索のための重要な資源となる。

