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地形学:地震後10年間持続した大きな河床堆積物フラックス
Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09354-8
大地震は広範な地すべりを誘発し、そうした地すべりが河道を堆積物で埋めて、長期にわたって河川に危険をもたらし、山地の地形を変える。しかし、地震後の河川堆積物フラックスは、主に掃流土砂フラックスに関するデータが不足しているため、まだほとんど解明されていない。今回我々は、2008年にチベット山脈の東部で発生したMw7.9(Mwはモーメントマグニチュード)の汶川地震の後の、ソースからシンクまでの堆積物収支を構築した。我々は、地震の影響を受けた地域の下流にある人工貯水池における堆積物の蓄積を測定した。地震から10年で、岷江は、地震が引き起こした地すべりによる堆積物質量の約9%を移出しており、その期間にわたって総河川堆積物フラックスが持続的に約5.7倍に増加した。掃流砂量は地震前のレベルと比較して27.4−15.6+14.6%増加し、地震後の堆積物移出の65−26+12%となった。この割合は、大半の山岳河川の代表値よりもはるかに高い。現在のペースだと、この河川系は、100年の時間スケールで汶川地震による地すべり岩屑の大半を除去すると考えられる。しかし、将来の堆積物移出速度は、山腹斜面の変化(例えば植生回復)や、水文学的性質、堆積物特性、輸送過程の変化に起因して変わる可能性が高い。今回の知見は、地震を引き金とする地すべりによって駆動される、掃流土砂に支配される10年間の堆積物パルスを実証しており、人口の多い下流域では大地震後に、埋積作用や洪水などの連鎖的危険に対する脆弱性の増大が数十年にわたって続く可能性があることを示唆している。

