核化学:シングルアトム技術によるアクチニウム分子とノーベリウム分子の直接同定
Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09342-y
周期表は、化学的特性を理解する直観的枠組みを提供する。しかし、周期表の最下段を占める最も重いクラスの元素の場合、従来のパターンが通用しなくなる可能性がある。アクチノイド(Z > 88)や超重元素(Z ≥ 104)では原子核が大きいために相対論的効果が生じ、その化学的挙動は大幅に変化すると予想され、これは、我々が予測可能な周期表の終端に達したことを示している可能性がある。相対論的効果は、ランタノイドと比較してアクチノイドの化学的性質が異常なことに関して既に言及されている。残念ながら、後期アクチノイドや超重元素の研究例が少ないため、相対論的効果の完全な影響を理解することは困難である。フェルミウム(Z = 100)を超える元素については、加速イオンビームと最先端の実験手法を用いて、一度に1原子ずつ生成して調べる必要がある。これまでのところ、生成した分子種を直接同定できた実験はない。今回我々は、ローレンス・バークレー国立研究所の88インチ・サイクロトロン施設で、アクチニウム(Ac、Z = 89)とノーベリウム(No、Z = 102)のイオンを、核反応を通して合成した後に微量のH2OとN2に曝露した。生成した分子種は、FIONA(For the Identification Of Nuclide A)を用いて、質量電荷比を測定することによって直接同定された。これらの結果は、我々の知る限り、シングルアトム(atom-at-a-time)技術を用いた重元素分子種の初の直接同定であり、その化学的特性の理解を深めるために、将来の超重元素化学実験においてそうした同定が重要になることを浮き彫りにしている。

