Article

細胞生物学:RNAが誘導する多相核小体構造のマッピングと改変

Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09207-4

生体分子凝縮体は細胞内区画化の重要な特徴である。真核生物の核で最も目立つ凝縮体である核小体は、多相の液体様構造であり、そこではリボソームRNA(rRNA)が転写され、プロセシングされ、複数の段階からなる成熟過程を経て、リボソームの小サブユニット(SSU)と大サブユニット(LSU)が形成される。しかし、核小体でのrRNAのプロセシング動態を正確に観察したり妨げたりする手段がないため、rRNAのプロセシングと核小体の層状構造とがどのように結び付いているのかはほとんど分かっていない。今回我々は、2つの相補的な方法を開発して、rRNAのプロセシング段階を時間空間的にマッピングし、de novo核小体を作製した。画像化と同時に塩基配列解読を行ったところ、rRNAのプロセシングの各段階が空間的に分離していること、rRNAの連続的な成熟が核小体の複数の相を通る外向きの移動に必要なことが分かった。遺伝子改変rDNAプラスミド系を用いて細胞内で合成核小体を作らせたところ、SSUのプロセシングがうまく行かないと核小体の各相の順序が変化し、核小体の内と外が逆になり、rRNAの外向き移動が起こらなくなること、また、LSU前駆体は核小体の最外層を作るのに必要なことが明らかになった。これらの知見によって、rRNAが核小体の足場と基質の両方となる仕組みが実証され、rRNAは多相構造のプログラム可能な設計図として働いて、リボソームという細胞に不可欠な分子機械の組み立てを促進することが明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度