腫瘍免疫学:チェックポイント免疫療法の体液性決定因子
Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09188-4
がんに対するチェックポイント免疫療法(CPI)での細胞性免疫の役割はよく確立されているが、これに比べると抗体を介する体液性免疫の効果はあまり調べられていない。今回我々は、CPIによる治療を受けたがん患者374人と健康な対照者131人からなるコホート内で、6172の細胞外および分泌タンパク質(「エキソプロテオーム」)に対する自己抗体について、REAP(rapid extracellular antigen profiling)を用いて、自己抗体リアクトームのマッピングを行った。全体として、CPIによる治療を受けたがん患者では、対照者と比べて自己反応性が多様かつ高かったが、治療によるその変化はごくわずかだった。CPIによる治療を受けた患者は自己抗体シグネチャーにより健常者と明確に識別できた。特定の自己抗体と免疫関連有害事象との関連性は希薄であったが、治療への応答のオッズ比の大きな変化と関連する多数の個々の自己抗体が検出された。これらには、サイトカイン、増殖因子、免疫受容体などの免疫調節タンパク質に加え、腫瘍表面タンパク質に対する自己抗体が含まれていた。いくつかの自己抗体応答の機能評価によって、こうした抗体が標的タンパク質(例えば、I型インターフェロン〔IFN-I〕、IL-6、OSM、TL1A、BMPR1AおよびBMPR2など)の活性を中和することが示された。前臨床マウス腫瘍モデルにおいてIFN-IおよびTL1Aに対する自己抗体の効果をモデル化したところ、CPIの有効性が高まることが分かり、これは患者における効果と一致していた。結論として、これらの知見は、エキソプロテオームに対する自己抗体がCPI応答を変化させることを示しており、免疫療法を増強するのに利用できる治療的に実行可能な経路を浮き彫りにしている。

