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がん:大腸の忠実性の喪失が多系統への可塑性と転移を可能にする

Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09125-5

がん細胞が新しい表現型特性を獲得できるのはその可塑性によってであり、この可塑性が転移進行の主要なドライバーとなっていると考えられている。がんの転移の大半は、さらなる遺伝的変化がなくても起こるので、エピジェネティックな機構が重要と考えられているが、いまだにほとんど解明されていない。今回我々は、クロマチンリモデリング酵素ATRXが、大腸系譜の忠実性と大腸がんの転移を調節する重要な因子であることを突き止めた。Atrx遺伝子が失われると、大腸上皮細胞のアイデンティティーが失われて間葉系細胞や扁平上皮様細胞のように高度な可塑性を持つ状態になると同時に、腫瘍の浸潤と転移が促進される。クロマチンアクセシビリティーとエンハンサーマッピングを組み合わせた解析により、大腸系譜を指定する転写因子HNF4Aの活性の障害が、観察されるこのような表現型をもたらす重要な要因であることが明らかになった。ヒト患者の試料でも扁平上皮様細胞が見つかり、扁平上皮様遺伝子発現パターンが疾患の悪性度や患者の予後不良と関連することが分かった。これらの結果を総合することにより、ATRXとHNF4Aが細胞系列の可塑性と大腸がんの転移の抑制因子として働いて、大腸上皮細胞のアイデンティティーをエピジェネティックに維持することが明確になった。

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