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化学生態学:トノサマバッタにおける4-ビニルアニソールの生合成と中心的な酵素の解明

Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09110-y

4-ビニルアニソール(4VA)は、群生相のトノサマバッタ(Locusta migratoria)が特異的に放出する集合フェロモンであり、壊滅的な蝗害の原因となるワタリバッタ類の大群の形成に極めて重要である。蝗害の制御は化学殺虫剤の大規模散布に依存するところが大きく、環境と健康に深刻な問題を引き起こしている。フェロモンは昆虫のコミュニケーションと行動の主要な仲介因子であるため、その生合成を調べることで、革新的な行動調節剤を開発するための重要な手掛かりが得られ、化学殺虫剤への依存を軽減できる可能性がある。今回我々は、4VAの生合成を解明し、この4VA生合成経路で複数の酵素を操作した際のトノサマバッタの行動応答を明らかにした。この生合成過程は、食物である植物に由来するフェニルアラニンから開始し、3つの前駆体(ケイ皮酸、p-ヒドロキシケイ皮酸、4-ビニルフェノール〔4VP〕)を経て進行する。重要なことに、メチル化による4VPから4VAへの変換は、群生相の個体に特有であった。この段階は、2つの重要なメチルトランスフェラーゼである4VPMT1と4VPMT2により触媒される。我々は、4VPとS-アデノシル-L-メチオニンと結合した4VPMT2のX線共結晶構造に基づいて、代替基質として4-ニトロフェノールを開発した。そして、4VPMTタンパク質の酵素活性を妨げることで4VA産生を阻害でき、それによってトノサマバッタの集合行動を抑制する、いくつかの化合物を見いだした。これらの知見により、4VA生合成の背後にある化学的論理が明らかになり、ワタリバッタ類の蝗害対策のための新たな標的として2つの極めて重要な酵素が特定された。

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