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神経科学:視覚運動変換のシナプス特異性を形作る分子勾配
Nature 644, 8076 doi: 10.1038/s41586-025-09037-4
脳は、どのようにして視覚入力を特定の運動行為に変換するのか。ショウジョウバエ(Drosophila)では、視覚投射ニューロン(VPN)が、網膜の位置情報を脳内のシナプス数に変換することで、この視覚運動変換を実現している。しかし、この現象の分子基盤は分かっていない。我々は、VPNの1つのタイプであるLPLC2ニューロンでこの問題に取り組んだ。LPLC2ニューロンは、接近を感知し、視野の背側から近づく刺激に対して優先的に逃避行動を駆動するが、腹側では反応が徐々に弱まる。この性質は、LPLC2へのシナプス入力とそこからの出力に、背腹の勾配があることと関連している。本論文で我々は、視覚空間内の異なる領域をサンプリングするLPLC2ニューロンが、これらのシナプス勾配と一致するように細胞認識分子の発現勾配を示すことを報告する。Dpr13は、逃避を媒介する運動前野の下降ニューロンのDIP-εと結合することで、LPLC2の出力を形作る。また、Beat-V1は、上流の移動感知ニューロンのSide-IIと結合することでLPLC2への入力を形作る。機能獲得実験と機能喪失実験から、これらの分子勾配がシナプス数を教示的に決めていることが分かった。こうしたパターンが次いで、刺激の知覚を精細化し、行動反応を駆動する。ニューロンタイプ間での同様なトランスクリプトーム的偏差は脊椎動物の脳にも認められ、これが遺伝的に生まれつき備わったプログラムと経験の両方を通じて働く、細胞認識分子の勾配を介してシナプス数を形作っている可能性がある。

